【特集連載】レンバイって何?
オガクロ出口晴久さんvol.1
「有機的な関わりを求めて」

レンバイについて、その成り立ち、メンバーを紐解く連載「レンバイって何?」。前回、「はじまりと成り立ち」でレンバイに関わるメンバーや概要をお伝えしました。記事はこちら⇨

ここからは、メンバーへのインタビューを通してそれぞれの人物像を紐解いていきたいと思います。第1回目は、「めぐる八百屋オガクロ」の出口晴久さんです。

関西オーガニックシーンを
歩んできたオガクロさん

オガクロの出口晴久さんは、「このセロリはこうやって食べてみて〜、めっちゃ美味しいねん」と、野菜を簡単に美味しく食べられる調理方法を、独特の柔らかい口調(会った人は分かるはず!笑)で教えてくれる人です。

元々は八百屋になりたかったわけではなく、食べることが好きで料理人になろうと会社員からレストランの厨房へ転職経歴のある出口さん。だからこそ、野菜の手の加え方で美味しさを最大限に引き出せることを、当たり前のように会話に盛り込んでくれます。



そんな出口さんは、妻のまゆみさんと共に、兵庫県宝塚市の阪急山本駅徒歩2分の立地に「めぐる八百屋オガクロ」という店舗を持ちつつ、県内や大阪市内に野菜を届けています。

扱うものは、小規模農家さんたちが農薬や化学肥料に頼らず、自然に向き合いながら育てた野菜や加工品。

妻のまゆみさんもとても心地の良いサッパリとした方で、「まゆみ」「父ちゃん」と呼び合い、時にそれぞれの主張を曲げたり曲げなかったりしながら、八百屋業のあれこれや、イベントへの参加、地域の行事やお子さんの子育てにと、日々奔走されています。



2018年4月の店舗オープン以前、独立して八百屋をやり出したのは2011年、約12年前です。

出口さんはこの10年、関西のオーガニックシーンを見てきた方でもあり、レンバイの立ち上げに関わった一人でもあります。この連載でレンバイについて紐解いていくにあたって、まずは出口さんのお店を訪ね、ゆっくりじっくりお話を伺いました。

美大生だった出口さんが
野菜を扱う仕事に就くまで

出口さんは、美大を卒業し「一般的な職を経験しておく事も大切」と教授にアドバイスされ、サラリーマンとして会社に就職されます。車のショールーム用品をデザインする会社で仕事に邁進されますが、オーストラリアの先住民アボリジニの楽器「ディジュリドゥ」にハマり、オーストラリアへ旅に出られます。

旅の過程でアボリジニの伝統的な食生活に触れ、食べることに関する仕事につきたいと思うように。


写真:米田真也
note「わたしを通り過ぎた本/出口晴久さんの場合」より


帰国してからは、自分が一番美味しいと思ったお店で働こうと食べ歩き、あるレストランの厨房に転職されます。

そのレストランは、有機野菜を全国から集めて販売する八百屋部門もあり、途中から「出口くん、八百屋にも入ってくれ」と言われ、渋々野菜を取り扱う現場に入ることになったそう。

そこで野菜を扱う楽しさも経験しながら、色々な疑問にも直面するようになります。

流通を通して悪くなってしまう野菜


「有機野菜専門の八百屋さんやったから、全国の有機農家さんから野菜が届くねん。やけど時々すでに傷んでいたり、腐っていたり、ひどい状態で野菜が入ってくることがあって。もうこれ何日保管してたん?みたいな。

農家さんは収穫して良い状態で野菜を出荷しているはずで、流通を通すことで野菜が傷んでいたら意味ないよね??

腹が立って流通会社に文句を言ってたら『あの店には文句ばっかり言う奴がおる』みたいに言われて(苦笑)。

農家さんに文句を言ってるわけじゃないのに、流通会社の人は農家さんに『八百屋の人が酷い野菜送ってくるなんて、どないなってんねん!みたいなこと言うてますー』って直接伝えるねん。

「ちゃうねん!」って思う。

流通を通して野菜を痛めてしまうなら、流通がない方がええやん?直送の方が絶対いいわけで。あとは会ったことのない人の野菜を店でおすすめする難しさも感じてた。それで流通ってなんなんやろう?って考えるようになって。

そこから僕が直接会った農家さんに声をかけて、会社の八百屋の前でファーマーズマーケットをやってもらうイベントを企画するようになって。

農家さんと直接会って話すことで、お客さんへの伝わり方も全然違うし。農家さんも楽しいし、買う人も嬉しいし、みたいな感じになっていって。独立した後も、そこで繋がりのあった農家さんたちと独立した今も継続してやりとりしている感じやね」。


写真:出口さん提供
イラストやデザインは、出口さんが手掛けている。

オーガニッククロッシング(有機的交差点)
と名乗るようになり、やがて独立

その頃出口さんが会社に所属しながら名乗っていた活動名が「オーガニッククロッシング(有機的交差点)」だったそう。

「八百屋は色んな人が来て、暮らし方や生き方を共有できる、有機的な関わりができる場所なんや、と感じて。それで色々なイベントを会社にいる時から企画してみたけど、あえて自分の活動で八百屋とは名乗ってなくて。だからいまいち何をやってる人っていうのが伝わりづらくて。それである時『オガクロは八百屋です』と言っちゃおうと思って。それで皆に認識してもらえるようになっていった」。

そうして会社にいながら、自分が面白いと感じる関わりを大切にしながら活動を続けていましたが、代替わりがあった際に、二代目と考え方が合わなくて独立することに。

「僕はお客さんとめっちゃしゃべるんやけど、二代目はお客さんと一言もしゃべらないぐらいの方がいいという人で。その人が店を全面的に継ぐってなった時に、やっぱり考え方が全然合わへんから。じゃあ、僕はもう別でやります、と。喧嘩別れでは全然ないけどね(苦笑)」。

こうして、譲れない芯の部分や感じる違和感にその都度敏感に立ち止まってきた出口さん。現在の“オガクロ”スタイルがどうなっていったかは、次回に続きます。

次回vol.2「守りたい多様性」に続きます。

【特集連載】レンバイって何?は、「編集部だより 食と台所」に随時アップしております。こちらからご覧いただけます⇨ 

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⇨こちらからご覧いただけます。 アカウント @o_renbai



文章:木田
(FOOD ORCHESTRA ライタースタッフ)

食べることは好きでも、料理への苦手意識は拭えず。だからこそシンプルでおいしい調理方法を教わると即実践! 仕入れ先やお取り引き先の皆様から伺うお話にはいつも学ぶことばかりです。難しくならないように、お伝えすることを心がけています。

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