【特集連載】レンバイって何?
みくり食堂/林澄子さんvol.3
「そうなっちゃっただけの人たちの面白さ」

連載「レンバイって何?」。すみさんこと、みくり食堂の林澄子さんvol.2では、人との関わり方にしっかり向き合おうと腹を括った出来事や、「真ん中で会いましょう」とレンバイ準備会を始めることになったお話を聞きました。

すみさんのインタビュー最後の回では、レンバイメンバーのこと、これからのレンバイに期待することを聞かせてくれました。


写真:レンバイInstagramより

レンバイに行くと元気になる

2022年4月に始まった、レンバイ準備会。当初は、時々お弁当の差し入れに行くなどして見守っていたすみさんは、こう振り返ります。

「最初は八百屋さん達が毎週集まる八百屋のマーケットという感じだったから、自分は含まれないかなと思って参加はしていなかった。でもある時から、八百屋さん達ではないmaemuki suit!の小西さんや、フードオーケストラさんが出店者として出るようになっていて。『それなら自分も行っていいかな?』となって。

その時期、コロナもあってお店にお客さんが全然こなくて…一人で店をやってると、穴蔵の中で店をやってるような気持ちになることがあるから、私も外に出ないといけないと思い始めていて。

それで2022年の11月の終わりくらいからかな。参加するようになって行ってみたら、なんか元気になって。売り上げは足らへんけど、もう一週間だけ行ってみようって気持ちになって。

同業者(飲食業)の人がお客さんとして野菜や調味料などを買いに来てるから、会えるやん? 料理人同士、店以外で会うことがあんまりないから、妙に嬉しくて。また、もう一週頑張ろうって、そうしたらまた次の週も……と今に至る感じかなー」。



不器用な人が集まる面白さ

すみさんは、レンバイに集まるメンバーのことをこう表現されました。

「(オガクロの)でっちゃんが選んでるお野菜を信用してる。でっちゃんは嘘がつけへんやん(笑)。

(honey beeの)佐野君は一見ポーカーフェイスやけど、ちゃんと思い入れがあってあのスタイルでやってるやん。

(MiKAN屋の)やまちゃんも、直接農家さんの所に行ってて、色んな話を聞かせてくれる。

(五ふしの草の)かず君はやっぱり、問題提起っていうことについてピカイチやなと思うし。良い悪いはともかく、考えるきっかけを与える、そこが面白い。

みんな方向が違っても、その人らしく面白いって思って作物を扱っている。自分が料理をするなら、そういうものを使うのが面白いと思っていて。

maemuki suit!の)ひろ君は、レンバイのお母さんみたいな存在(笑)。自然にフォローしたり、声をかけてくれたり。

フードオーケストラのあっこちゃん(大植)もきこちゃん(木田)も、この人たちとやからやりたいなと思わせてくれる。

みんな面白くて居心地がいい。お客さんもちょっとずつちょっとずつ定着してきてるのも嬉しい。


写真:レンバイInstagramより

みんなさ、不器用やねんけど、やりたいことをやってきたっていうか、そうなっちゃっただけの人たちっていうか。その感じの人って凄い好きやねんな。想像を超えるやん、その感じが面白くて。レンバイにはそういう力がある気がする。それぞれが際立ってるから。

八百屋さんて、自分が作っているものを売ってるわけじゃないやん。それやのにあんなに個性が出るって面白いなって思ってて。ああいう存在って少ないからさ。レンバイを知らない人には、言ってる意味が最初は分からんと思うねん。八百屋が集まってるマーケットって何?って。でも凄い良いと思うねん。もちろん農家さんの話も面白いんやけどね。

自立してる人たちの集まり。みんな一緒にっていう感じじゃないやん、それが面白い。『同じ目標に向かって!』とかじゃなく、それぞれが独立して自分のやりたいことをやってる人たちが単純に集まっているのが面白い。

それがなかったらレンバイに行ってないかな。自分じゃないものを効率よく売るとか、そういうことじゃないから。

どうやったら売れるようになるかって考えるとかじゃなくて、単純に会うってことが、私にとっては面白い。メンバーにもお客さんにも。一週間以上会えなかったら『凄い久しぶり〜』ってなるやん?それって凄いことやと思うから」。



料理人と八百屋とグロサリーストアが
組み合わさって出来ること

最近ではレンバイが終わった火曜日の夕方に、新たな試みも始まりました。

オガクロさんのその日のおすすめ野菜と、フードオーケストラの調味料を使って、すみさんが即興で作ったおかずを試食しながら、野菜の特徴や調理方法、調味料についての話を交わす時間です。

「レンバイ野菜の試食会」と題したその時間は、参加したお客さんにも「この野菜ってこんな食べ方で簡単に美味しく味わえるんや〜」と好評を得ています。



すみさんは、ある日のInstagramでこの取り組みが始まることにこんな思いを寄せていました。

「このところ、色々なものを選び直したり、集めたり、繋げたり、分け合ったり、のお仕事がいくつか続いています。

よく考えてみたら、みくり食堂で私のやりたかった事は、色々なものを繋げて取り分ける事を体感でお伝えしたいのだな、と改めて思っています。

今、ここで、手元に集まってくる食材でご飯を作り、ただ美味しかったとほっとしたら、自分を取り戻せる気がして、あまり難しくつきつめるようなお料理や手仕事より、暮らしの中にあるささやかで豊かなものを見つけたい。

そんな事が一つでもあったら、私は夢の中を歩いているみたいな気持ちになるのです」。



終わりに

すみさんはレンバイで知り合って人となりが分かってきた頃に、私(フードオーケストラ、木田)に対して「きこちゃんオモロいな〜」と笑いながら言ってくれるようになりました。私からすると「え、そう?」とこそばゆくなるような、自分では褒められたもんでもない、ちょっと不器用な一面が出るような場面で、です。

今思うと、人のそういう一面に敏感で、それこそが面白味だと肯定してくれるその目線は、横にいる誰かのありのままを認めて、幸せであってほしいと祈るような思いが根底に流れているのかなーと、今回のインタビューを通して感じました。

そんなすみさんが作る手料理を感じに、調理方法やあれこれを対話しに、レンバイに来てみてほしいです。きっと、食材をこんな風に楽しむ方法がまだまだあるんだ!と感じる発見があるはずです。

レンバイについて、その成り立ち、メンバーを紐解く連載「レンバイって何?」。次回は、東大阪で八百屋をされているMiKAN屋の山ちゃん、こと山﨑雄司さんを訪ねます。

【特集連載】レンバイって何?は、「編集部だより 食と台所」に随時アップしております。こちらからご覧いただけます⇨ 

レンバイの最新情報はInstagramでご確認いただけます。
アカウント @o_renbai



文章:木田
(FOOD ORCHESTRA ライタースタッフ)

食べることは好きでも、料理への苦手意識は拭えず。だからこそシンプルでおいしい調理方法を教わると即実践! 仕入れ先やお取り引き先の皆様から伺うお話にはいつも学ぶことばかりです。難しくならないように、お伝えすることを心がけています。

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