2021.4.24
Chieさんのだし教室で教えてもらったこと
フードオーケストラをオープンする前に、大阪でだし料理研究家として活動されているChieさんの「だし教室」に参加させてもらいました。
時間のない時に簡単にさっとできる”だしパック”を使っていたスタッフが、Chie さんのだしを飲んでから一切だしパックを使わなくなったというだしの取り方と、だしを取った後の煮干しのマリネのレシピをご紹介します。
今では、煮干しのマリネを食べたいが先行してだしを取ることも、、、
塩を入れるだけでホッと一息つける、Chie さんの味わい深いだしをお試しください。
美味しいだしの取り方
煮干しは小さめの煮干しを使う事で頭も内蔵もそのままで、一晩漬けるだけで火にかけなくてもおいしい!というのが新発見でした。
「子供のだし」「大人のだし」「たぶん日本一のだし」の3種類のご紹介です。
《子供のだし / 煮干しとかつお節のだし》
分量 お味噌汁 5 杯分
水・・・・・1L
煮干し・・・25g
かつお節・・10g
① 1L の水に煮干し 25g を冷蔵庫で一晩漬けておく。
② 煮干しは火にかけずに引き上げ、だしだけをを沸騰させる。(※)
③ 火を止めて、かつお節 10g を入れ、3 分程おく。
④ ザルでこす。
※煮干しは煮出さないことで、煮干し本来のうまみが味わえます。
※お子さん(15 歳以下)への毎日のだしは、昆布の摂りすぎに注意が必要だそうです。子供は昆布に含まれるヨウ素の耐用上限量が低いので、昆布を使用しただしは週 1~2 回までにし、毎日のだしには煮干しと鰹節で取る「子どものだし」をチョイスすることをおすすめしているそうです。ヨウ素が全く子供に不必要というわけではなく、必要な栄養素なので、適正な範囲でカットわかめ 2g 程度を汁物に入れて摂るなど、適度の具体的な話も教わりました。
とてもきれいな煮干し。だしを取った後は、煮干しのマリネに使います。
中嶋屋本店のタレ煮干し
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竹内商店の土佐節花削り40g
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《大人のだし/煮干しと昆布のだし》
分量 お味噌汁 5 杯分
水・・・・・1L
煮干し・・・25g
昆布・・・・5g
① 1L の水に昆布 5g・煮干し 25g を入れ、冷蔵庫で一晩漬けておく。
② 煮干しは火にかけずに引き上げ、昆布だけを残して火にかける。(※)
③ 沸騰したら昆布を取り出して出来上がり。
※煮干しは煮出さないことで、煮干し本来のうまみが味わえます。
昆布のみ残して火にかけます。
「たぶん日本一のだし」は材料が最高級のもので取っただしで、本当に贅沢な味でした。これはぜひ教室に参加して教えてもらってください!
Chie さんは、だしを取ることを難しく面倒に感じないように「これでも大丈夫」というワンポイントを話してくれて、やってみよう!と思わせてくれます。
「煮干しの分量がちょっと多いな、と思うなら調整してももちろん OK。私は煮干しを食べたいからこの量でやってます。皆さんの丁度いい量を見つけてもらえたら」。
だしを味わい感嘆の声が上がる
だしの味見をするとき、思わず感想の声が大きくなりました。「香りがすごい!」「毎朝飲みたい」「料理を食べてるみたい」「あーーー美味しい!」皆の感想があまりにストレートで、笑いが生まれます。ほんと、美味しい! としか言いようがないよね、と。
Chie さんは言います。「病院で点滴するより、きちんと取っただしの方が皆の病気が治るんじゃないかと思ってるんです。美味しいだしを飲むと、体に染み渡る感じがしてホッとする。それは本来人間が求めている栄養分が体に行き渡るからそう感じるんじゃないかって思うんですよね」。
ほんとにそうだなぁと感じました。自分や家族の健やかな体づくりのために、美味しい食事がとりたいから、どんな理由でもいいので、だしを取ることをもう少し身近に日常的にしていけたらなぁと、教室に行って感じました。皆さんも是非、お試しください。
Chieさんがいつも使っているという精米機とごはん鍋。その都度好きな歩合に精米し土鍋て炊いているそう。
自家製のぬか漬け。炊きたてのご飯とおだしを取ったお味噌汁にぬか漬け、想像するだけで幸せになります。
優しくてチャーミングな印象の Chie さんですが、勉強された裏付け話がどれも興味深く「食生活の基準が少しでも変わっていく人が増えたらいいな」という思いで教室をされていて、とにかく学ぶことばかりの時間でした。だしって凄い。なんせ美味しい!そう実感した時間を、こちらのコラムでご紹介したいと思います。
だしは軟水だから美味しくとれる
日本は軟水(なんすい)地帯のため、海外の硬水(こうすい)地域に比べてミネラルが不足しがちになるそうです。ミネラルの不足は気づきにくく、ミネラル不足により骨粗鬆症のリスクが高まったり、体に不調がでてきてしまったりと自分ではわかりにくいんだそう。それを補充できるのがだしやだしがらに含まれる栄養分です。
逆に、硬水だと美味しいだしが取れないので、その土地に合った食材が長い年月の中で自然と取り入れられていたと思うと、人間の体が欲する能力って凄いし面白いですよね。
Chie さん「京都や大阪は関東に比べてさらに軟水地帯。だから昆布でおだしを取る文化があったんでしょうね。お水が合っていて美味しいだしが取れるから」。
顆粒だしと本物のだしは栄養分が違う
顆粒だしは鰹節風、昆布風と、味の旨味は簡単に作れるけれど栄養分は作れません。栄養成分を見てみると、塩分が多くてカルシウムやマグネシウムが少ないものが多い。その点、煮干しはダントツにカルシウムと鉄分が多いのが特徴です。 Chie さん「例えばカルシウムはマグネシウムと (1:0.5) の割合いで一緒に摂る事で吸収が高まります。煮干し ( カルシウム ) とナッツ ( マグネシウム )、クラムチャウダーの牛乳とアサリ、牛乳とココアのように、自然と美味しいと思う組み合わせが、しっかり栄養分が取りやすい組み合わせで理にかなっていたりします。」
しっかりだしを取って豆腐とわかめで作った味噌汁一杯では、カルシウムも鉄分もバランス良く摂れます。特にだしがらに栄養分が残っているため、Chie さんの教室ではだしがらも捨てずに食べられるレシピをレクチャーされています。
Chie さん「どれだけ美味しく栄養を取れるかがポイントですよね。この中嶋屋本店の煮干しのようなサイズだと、黒い内臓も取り分けずそのままでも美味しいので、丸ごとつけて丸ごと食べることを薦めています。」
スーパーにある昆布を選ぶときは、下記を理解していると大丈夫ということも教えてくれました。
● 真昆布
肉厚。最高級品。上品でしっかりした甘みと旨みがある。
● 利尻昆布
真昆布よりやや旨みは薄いが、真昆布に次ぐ高級品。やや塩味がかって味はよ良い。
● 羅臼昆布
黄色い色味がしっかりでて味も濃い。しっかりした味が出る。おうどん、お蕎麦のだしはこれが多い。
●日高昆布
だし向きではなく、おでんや昆布巻きなどに向いている。
最後にこれは必見!だしがらを使った煮干しのマリネ
スタッフ内でも好評だった簡単で美味しい「だしがら煮干しのマリネ」を教えてもらいました。ドレッシングのように生野菜にかけたり、パスタに絡めたり、おつまみにしたり。是非、だしを取った後にお試しください。
BEZZECCA 2020年 エキストラバージンオイル
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河原酢造の老梅 有機純米酢
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波花堂の御塩 100g
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【材料】
だしを取った後の煮干し(20~25g ほど)
オリーブオイル 適量(煮干しがひたるくらい / ごま油で作れば中華風に)
お酢 大さじ 3~4 くらいを味見しながら(米酢を使用 / 白バルサミコ酢や黒酢でもお好みで)
塩(味見をしながら、しっかり味付けする)
ニンニクのみじん切り 1 カケ分くらい
【作り方】
①だしを取った後の煮干しをキッチンペーパーでぎゅっと包んで水分をとる。
②保存容器に水気を取った煮干しをいれ、オリーブオイルでひたひたにし、お酢を加える。
③お酢の量は混ぜた時の仕上げの味で加減する。
④ニンニクのみじん切りと塩を加える。だしを取った後の煮干しは塩分が抜けているので、塩は気持ち多めでもいい。パスタに混ぜる時などしっかり味がついてる方がいい。
Chie さん「塩も摂り過ぎない方が良いと言われますが、良い塩 ( 非加熱の天日塩 ) はミネラルもバランス良く豊富に含まれているため、適量を取るといいです。夏にはそうめんと合わせたり、煮干しのマリネにバジルとトマトを混ぜたり、大葉やイタリアンパセリを加えたりするとさらに美味しいですよ! 」。
Chie (森智恵子)大阪出身のだし料理研究家(culinary dashi creator)。食にこだわる母から学び、数々の調理経験をかさねる。数年に渡りイタリアにて食の交流をし、自国の食文化の素晴らしさを再確認。素材を追求し、日本のだしをベースにイタリアやフランス料理などのレシピを制作したり、陶芸家とのコラボ、出張料理など国内外問わずだし教室、小学校への食育授業など活動中。
文章:木田(FOOD ORCHESTRA ライタースタッフ)食べることは好きでも、料理に苦手意識があるからこそシンプルでおいしい調理方法を教わると即実践。日々のしごとの中で見つけたこぼれ話をコラムにします。
おいしい よみもの
おいしいとありがとう
つくる人とたべる人
出会い、めぐり、ひびきあい
わくわくする未来へ
はじめまして! 安心できる、おいしい食品を選りすぐってお届けするオンラインストア、フード・オーケストラです。育み作る人と食べる人は、深呼吸するように、つながり、めぐるもの。しあわせで、おいしい音が、途切れることなく明日も明後日も響いたらいいなと思う。正直で、安心できる、おいしい食品を選ぶことは、作り手や子供たちの、わくわくするような素敵な未来をひらいています。私たちが毎日できる、小さくて、大きな力。日々のくらしに無理なくしっくりとくる、おいしいものやうれしいものを、私たち自身の感動を忘れることなく新鮮な目で選び、みなさまの食卓へとお届けするオンラインショップを目指します。