2024.1.26
【特集連載】レンバイって何?
Honey bee /佐野裕希さんvol.3
「レンバイ自体はふわっとしてる方がいい」
レンバイについて、その成り立ち、メンバーを紐解く連載「レンバイって何?」。「Honey bee」の佐野裕希さん最後の回では、レンバイらしさとは何なのか、佐野さんか感じている話を聞かせてもらいました。
「ただただ集まろうや」の空気が生み出したもの
これまで約10年くらい、大阪でもオーガニックのマルシェや行政が絡む大きなイベントまで、大小様々なイベントを見てきてた佐野さん。そこで感じていた課題を振り返ります。
「結局何を産み出せてるんやろって、ずっと感じてたはずなんですよ。それぞれが。何が足りないのかなって言ったら、やっぱり結局は隣にいてる意識、みたいなとこだと思うんです。
レンバイの中で言えば、その中でどういう役割ができるのか、求められてる部分はどこなのか。集まるからこそちょっと意識できるとこってあるじゃないですか。
写真:レンバイInstagramより。レンバイ準備会の時の写真。
レンバイ準備会を始めてからなんですよね。自分は何がしたいのか、どういうことができるのか、みたいなものがそれぞれに出てきてて。それが結果的に形になり、新しい仲間が増えていった。
八百屋じゃない人たちがメンバーに入ってきたことで、またちょっと違った見え方や、違った考え方も入ってくる。
今まで何かを立ち上げる時に、「面白そうやな、私も何かしたいんですけど」と、出店者が主催者側になっていく形って、あんまりなかった。
例えば、主催者に理想があったり思想的なことがあり過ぎると、加わっていくが難しいじゃないですか。壁を感じるというか。
でもある意味レンバイはそういうものがなくて「ただただ集まろう」っていう感じで始まったからこそ、少しずつ出店メンバーが増えていった。
今現在は「加わりたい」みたいな声が止まってる感じがしていて。意識的なところをここっていうところに固定化しちゃうと、そこで終わってしまう感じがぼくの中にあって。
「オーガニック連売所」と最初につけた名称も、「レンバイ」っていうシンプルな呼び方に変わってきている。それってオーガニックとあえて掲げなくてもいいんじゃないかな、ということのような気がして。結果的にそうだ、と。もしもまた、新しい人たちが入ってきてくれるとすれば、それがむしろいい気がしてるんですよね」。
写真:レンバイInstagramより
これからレンバイはどうなっていくといいのか
年末に、レンバイのメンバーでこれまでを振り返るミーティングをしました。
その時に改めて話題に上がったのが、週に1回「毎週開催」を持続的にやる事とはまた別に、お客さんも自分たちも新鮮な感覚で楽しめるように、時々はご縁のある方を招き、イベント的なこともやって行けたらいいね、ということでした。
また、オガクロの出口さんとみくり食堂のすみさんが開催している「野菜の試食会(※)」の場のように、お客さんと共にレンバイという場所が持つ面白さを育んで行けるといいなぁ、というような話がありました。
※野菜の試食会について
出口さんが持ってきている野菜と、フードオーケストラで扱う調味料を中心に、すみさんが調理したワンプレートをお客さんと一緒に食べながら、野菜について話をする時間。
佐野さんも、インタビュー時にこんな話をしていました。
「レンバイっていうもの自体は堅苦しくなく、ふわっとしてる方がいい。僕の中では『週に一度会う』っていうことが、もうある意味すべてだと思っていて。
あとは、入り口が広いっていうのはもちろん大事やけど、出口がないようなクローズドな感じのコミュニティーになってしまうと、それはちょっとやばそうな気がするなっていうのは思ってます。
主催者側もお客さんも出入り自由な状態がいいと思います。
そういう意味で言うと、五ふしの草の榊原さんの今の動きっていうのは、全然いいと思っていて」。
(※補足 レンバイ立ち上げメンバーの一人でもある榊原さんは、現在は奈良店の運営と自身が手がける活動に重きを置き、定期的なレンバイへの参加はお休みされています。)
写真:レンバイInstagramより
佐野さんの話は続きます。
「めっちゃ崇高な綺麗な思想みたいなものがあって成り立ってる取り組みみたいなものは、もういいかなと思っていて。
別に泥くさくてもいいし、目立たなくても、地味でも全然いいから。それでもまた今週も会えたなって思えたらいんじゃないっていう。それこそもう、参加してるメンバーは、やりたいことは個々にやってるやん、て思うんですよね。
やまちゃんがやってる、“作り方”というより“人”にフィーチャーした『ウマイ野菜』っていう切り口もすごくいいし。今まで榊原さん(五ふしの草)や出口さん(オガクロ)がやってきた、オーガニック野菜の取り組みっていう部分は、もう僕には追いつけないぐらい想い的な部分が強いし、耐えながら続けてきたこと、それはすごいことと思ってます。
レンバイで、慣れ合いじゃなく、いつも隣に意識できるっていうのは、緊張感もある。僕からしたら先輩にそうやって見てもらえてる部分の緊張感もあるし、同期に近い存在の山ちゃんにも意識してもらえてる緊張感ももちろんある。
身体的にしんどい日があっても、来たいと思えるぐらい面白い場所なんです」。
終わりに
佐野さんはレンバイメンバーの中でも、野菜の特性や背景を的確に教えてくれたり、何に対してもどこか分析的な見方をしていたり、かと思ったらツッコミしづらいボケをされたり(それは本当に困る!笑)、頭がキレる冷静なお兄さんという印象でした。
でも実は情に熱く、世の中にこういう「隙間の場所」があってもいいんじゃないかと、レンバイのことを深く捉えていたんだ……と感じるインタビュー時間になりました。
Honey beeのあまり更新されていないホームページには簡潔にこう書かれています。
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足を運び実際に見て話をして選ぶというのは大きな時代の流れに逆行しているのかもしれませんが、その日しか出会えない季節感や地域性を感じる野菜達。家で調理し食べた時の感動をまた話できる関係性。
それが私自身も来てくれる方々にも楽しみとなっているように感じています。
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佐野さんは、毎週木曜日の14:00〜1時間前後、フードオーケストラ店頭で気軽な「お話会」を開催されています。野菜のことのみならず、何か気になる話題を話しませんか、という場になっています。佐野さんが運んできた野菜の話や、色んな会話を楽しみに、レンバイやお話会に来てみてほしいです。
写真:「お話会」の様子
特集連載、最終回のお知らせ
「【特集連載】レンバイって何?」の締めくくりに、五ふしの草の榊原さんにインタビューをしようと相談しましたが、しばらくレンバイに参加していないこともあり、辞退されました。でも「フードオーケストラさんの考えを話した方が面白いと思う!」と提案され、私たちがインタビューしてもらえる機会を作ってくださいました。
五ふしの草でもルポルタージュの連載をされていて、その際に書き手になっている三宅翔子さんと、カメラマンの中部里保さんにお越しいただき、フードオーケストラの大植と木田でレンバイを振り返る話をしました。次回、その記事で連載を締めくくりたいと思います。
【特集連載】レンバイって何?は、「編集部だより 食と台所」に随時アップしております。こちらからご覧いただけます⇨
レンバイの最新情報はInstagramでご確認いただけます。
アカウント @o_renbai
文章:木田(FOOD ORCHESTRA ライタースタッフ)食べることは好きでも、料理への苦手意識は拭えず。だからこそシンプルでおいしい調理方法を教わると即実践! 仕入れ先やお取り引き先の皆様から伺うお話にはいつも学ぶことばかりです。難しくならないように、お伝えすることを心がけています。
おいしい よみもの
おいしいとありがとう
つくる人とたべる人
出会い、めぐり、ひびきあい
わくわくする未来へ
はじめまして! 安心できる、おいしい食品を選りすぐってお届けするオンラインストア、フード・オーケストラです。育み作る人と食べる人は、深呼吸するように、つながり、めぐるもの。しあわせで、おいしい音が、途切れることなく明日も明後日も響いたらいいなと思う。正直で、安心できる、おいしい食品を選ぶことは、作り手や子供たちの、わくわくするような素敵な未来をひらいています。私たちが毎日できる、小さくて、大きな力。日々のくらしに無理なくしっくりとくる、おいしいものやうれしいものを、私たち自身の感動を忘れることなく新鮮な目で選び、みなさまの食卓へとお届けするオンラインショップを目指します。