【特集連載】レンバイって何?
みくり食堂/林澄子さんvol.2
「ちゃん人と向き合わなあかん」

連載「レンバイって何?」。すみさんこと、みくり食堂の林澄子さんvol.1では、気づけばマニュアル通りではない歩み方で今に至るお話を伺いました。

今回は、すみさんが今の仕事や生き方、人との関わり方にしっかり向き合おうと腹を括った出来事について話は進みます。



ある知人の死

誰かが自ら命を終える選択をした時。複合的な理由があると頭で理解しようとしても、残された近しい存在は、あの時に自分は何ができただろう……と、悲しみと後悔、罪悪感に包まれてしまう……

すみさんにもそんなショックな出来事が訪れ、それがやがて「食」や「目の前の人」に本気で向き合う大きなきっかけになったと聞かせてくれました。

「自然農をやっている知人家族がいて。農法にこだわった農業は、暮らしを両立させる難しさっていうものがあって、暮らせなくて辞めてる人も多いんやけど。この人がもしも暮らしが成り立つ農業ができたら、みんなの目標になるやろうなみたいな人がいて(以下、Aさんと表記します)。

そのAさんが、震災の年の6月に亡くなったんだよね。

2011年震災の年の4月か5月くらいに、フォーラムみたいな集まりがあって。その時に何十人も人が集まってたんだけど。その時にAさんも来ていて、おにぎりを売ってたの。

鬱もあって克服したって聞いてたんだけど、ぱって見た時に、Aさんがギリギリの状態でそこに座ってるっていうのが分かるくらい、もう本当に能面みたいな顔をしてて。Aさんを本気ですぐに病院に連れて行くか何かしたほうがいいって思って。

でも、私が言うのもなって思って。フォーラムが終わって周りの近しい人に『すぐに(話をしに)行ってほしい』って泣きながら頼んだのね。絶対ギリギリだと思うって。でも周りの人たちもタイミングが合わなくて。それで6月に電話がかかってきて……。

私はAさんの事を人に託してしまって、自分でなんで向き合わなかったんやろうって。半年くらい本当に悔いてさ。私の話はAさんは聞いてくれへんって思ってしまったけど、それでも何かやったら良かったって、自分にがっかりしちゃって。

多分私、自分の離婚の時のダメージが大きくて。あんまり人と深く関わるのが嫌で、今でも気配を消すことがあるんやけど(苦笑)、ちょっと人間不信になったからね。

離婚して11年ぐらいかかって、ようやくそのダメージというか後遺症みたいなものがなくなってきた頃やったから、それが、バンって離婚直後に戻ったみたいな気持ちになって。

『あかん。ちゃん人と向き合わなあかん』って思うようになって。その時くらいから、いつかお店やりたいなーってなんとなく思ってた事に、ちゃんと向き合おうってやり出したんかなー。

自分と自分の横の人が幸せじゃなかったら意味がある?って、その辺から本気で考えるようになったんかな。別に誰かを助けるために生きてるわけじゃないけど。そこでちょっと腹くくったというか」。

そこからすみさんは、自分が何を作りたいのか、自分のスタイルを模索されます。そうしてお店をオープンさせ、少しずつ自分のスタイルを確立して行きましたが、コロナでまた状況が一変したと振り返ります。



コロナ禍に感じた「会って話せる喜び」

コロナでお店にお客さんが来なくなった時期、本当にどうしよう……と気持ちが塞ぐ中、オガクロの出口さんや五ふしの草の榊原さん達と集まって話す機会があった時のことを聞かせてくれました。

「まだ集まったらいけないみたいな空気感の時だったから、なるべく目立たぬように集まったんだけど。その時に私は、今とにかく会えたことがすごい嬉しいと感じて」。

その時に八百屋さん達が感じていた危機感(今までの販売スタイルでやっていけるのか、等)や、コロナでお客さんと会えなくなってしまっている状況への不安を共有したすみさん達。

「何か一緒に取り組めることはないか」という話になった時、大切にした考えがあったと振り返ります。


「農家さんにとって大きいイベントをするとなると、野菜がない時はかき集めないとあかんし、忙しい時は結局負担になって、1日のイベントのためだけに後の生活にすごい皺寄せがくる。そういうのはやりたくないなーって感じてて。

暮らしの中に溶け込んでいるような、そういうのならやりたいなって話をして。それやったら毎週やなって。一ヶ月に一度じゃなく、毎週が大事。一回やってみようってなって。

その時に、でっちゃん(オガクロ出口さん)から『真ん中で会いましょうって感じやな』という話が出たんよね」。

真ん中で会いましょう

「真ん中で会いましょう」という言葉には、こんな意味合いがあると、ある日のレンバイミーティングで聞いたことがありました。

自分たちが活動している地域(南大阪・奈良・兵庫)から大阪の中心部に集まって、心地よい野菜や食べ物をその各地から一堂に集め、売る側も買う側も、いつもとちょっと違う場所に一歩踏み出してみる。

伝えたいこと、学びたいことを共有するような、イベントではなく、生活の一部になる場所を共に作っていく。

真ん中で、会いましょうーー。

そうして週1回を基本ルールとしたレンバイ準備会がスタートしました。

八百屋さんも出店者もお客さんも「真ん中で会いましょう」と集まる“いつもの場所”に参加することで「元気になる」感覚を得た、とすみさんは振り返ります。


次回vol.3「そうなっちゃっただけの人たちの面白さ」に続きます。

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アカウント @o_renbai



文章:木田
(FOOD ORCHESTRA ライタースタッフ)

食べることは好きでも、料理への苦手意識は拭えず。だからこそシンプルでおいしい調理方法を教わると即実践! 仕入れ先やお取り引き先の皆様から伺うお話にはいつも学ぶことばかりです。難しくならないように、お伝えすることを心がけています。

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