島崎ともよ
お母さん、もうご飯作りを頑張るのはやめませんか?

料理家の私が「もうご飯作りを頑張るのをやめよう!」って一体どういうことだと思われるかもしれませんが、実は日々料理と向き合っている私が、とても大切にしている考えの一つです。

ドイツに移住して5年目となりましたが、ここでの生活で知った食生活の多様性から「これでいいのか」を知ることになり、食と向き合う意識が大きく変わりました。

もちろん日本スタイルの食生活を否定しているわけではありませんし、海外の食生活のスタイルを全面的に推しているわけでもありません。その国々のさまざまな文化的、経済的背景があって築かれてきた食のスタイルですから、日本人にそっくりそのまま置き換えれるかと言われたら、難しい側面も多々あります。

ですが、海外の食のスタイルや考え方を一部切り取って取り入れたことで、力を抜いて食と向き合えるようになり、私は随分楽になりました。

食事作りに頭を悩ませている人もきっと多いと思います。頑張らずに時短で作ろう!とか、そういう類のアイデアではありませんが、何かのヒントになったら嬉しいです。



『3』という数字を基準に考える。

日々の食事作りって、一回で終わるものではなく、生きている限りずっと続きます。なので、アクセル入れっぱなしはなかなかしんどい。

でも、ちゃんとバランスよく作らなきゃ!と思う人は多いと思います。では、どう力を抜きながらバランスを取るか。

私は『3』という数字を使って考えるのをおすすめしています。

例えば、3食(1日単位)でバランスを取る。

3日間でバランスを取る。

6日間(約1週間目安)でバランスを取る。という感じです。



慣れるまでは1日単位で、慣れてきたら3日、そして一週間という風に期間を伸ばしていきます。1日3食で考えると分かりやすいので、ドイツ人の友人に教えてもらったとある日の食事内容を例に見ていきましょう。

朝は、パンとチーズにコーヒー。バターをたっぷりつけて。

昼は、チキンカツと野菜サラダ、パンのランチ。ランチはたっぷりと。

おやつは、フルーツと野菜。丸々のりんごかバナナと、スティックのにんじんかパプリカが定番。

夜は、子どものお友達が遊びに来るから、ミートソーススパゲッティ。これから寝るだけだから、ガッツリは食べない。



彼女の考えとしては、1日を通して炭水化物もタンパク質も野菜もフルーツも全部バランスよく食べているからグッドじゃない?とのこと。夜のミートソーススパゲッティは、特に一皿に栄養素が詰まっているから一品で十分だそう。

はじめて聞いた時は驚きましたが、そういう考えもあるのね、なるほど!と感じました。そして彼女が、食事作りに必要以上のエネルギーを使わずに、子どもとの時間を大切にしている様子も私には新たな学びでした。

今では、3日をワンタームとして考え、そのうちの1日は上記のような食事にして、残りの2日で足りないものを補ったり、時間が取れそうな時にガッツリ作るようになりました。数年経ちますが、食事作りの7割は力を抜いているイメージなので、様々な負担が激減したなと感じています。



我が家の夕ごはんの一例

・白菜と豚肉の煮物(クリック→インスタにレシピ動画があります)、ごはん、トマト、味噌をつけて食べるスティックきゅうり

・パン、ハム、野菜、フルーツの盛り合わせ

・蒸し鶏と野菜のサラダうどん

・おにぎりと豚汁

・納豆ご飯、味噌汁、卵焼き

あー、今日は作りたくないなーという日は、冷凍ピザだけの時もありますし、さっさと気持ちを外食に向けることもしょっちゅうです。

味噌汁を作るのも面倒な時は、きゅうりに味噌を添えて出しますし、おかずを1品作る代わりに、味噌汁に肉も野菜も全部入れて完成!という日も珍しくありません。

品数も多くないので、料理家の家庭なのに!?と驚かれるような食卓でしょう。でも、そんなごはんの方が圧倒的に家族に喜ばれている事実もあります。



キッチン仕事は、目に入ってくる情報量が多い分野でもあるので、無意識に「頑張ろう、頑張ろう!」と足し算していく人が多い印象ですが、少しずつ引き算をしながら、気楽にキッチン仕事ができるバランスを模索して欲しいなと思っています。

 

 




島崎ともよ
TOMOYO SHIMAZAKI

料理家。家族思いのシンプルでナチュラルな食を提案するサイト『LIFEとFOOD』主宰。“食は暮らしの一部”を基軸に、日々のレシピや子育ての気づきなどを発信する。2017年よりベルリン在住。

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はじめまして! 安心できる、おいしい食品を選りすぐってお届けするオンラインストア、フード・オーケストラです。育み作る人と食べる人は、深呼吸するように、つながり、めぐるもの。しあわせで、おいしい音が、途切れることなく明日も明後日も響いたらいいなと思う。正直で、安心できる、おいしい食品を選ぶことは、作り手や子供たちの、わくわくするような素敵な未来をひらいています。私たちが毎日できる、小さくて、大きな力。日々のくらしに無理なくしっくりとくる、おいしいものやうれしいものを、私たち自身の感動を忘れることなく新鮮な目で選び、みなさまの食卓へとお届けするオンラインショップを目指します。