【特集連載】レンバイって何?
maemuki suit! 小西宏和さんvol.1
「独特の立ち位置で場に馴染む人」

レンバイについて、その成り立ち、メンバーを紐解く連載「レンバイって何?」。第4回目は「maemuki suit!(マエムキスーツ)」の小西宏和さんを紐解きたいと思います。八百屋さんではない小西さんがレンバイに関わるようになった経緯や感じていることを、全3回に渡ってご紹介します。



独特の立ち位置で場に馴染む人

レンバイは独立系の八百屋さんが集まってはじまったと、これまでの連載で紐解いてきましたが、そこにスッと馴染んでレギュラーメンバーになっている小西さんは一体何者なのでしょう。

元々は、ご自身が手がける商品「野菜のおくるみ」をリリースしたタイミングで、レンバイの発起人の一人でもある五ふしの草の榊原さんとご縁があり、店頭でmaemuki POP UP を開催していたという小西さん。


(野菜のおくるみはフードオーケストラでも販売中。商品リンクはこちら

そこで、「レンバイ準備会」が始まることも耳にし、普通にお客さんとして通っていたそう。

「そしたら、レンバイでも野菜のおくるみを売ったらええんちゃいます?と参加するようになって。この場所にコーヒーもあったらええですねーって話をしたら、ほなやってくださいってなって(笑)。それでコーヒーを出すようになりましたね」。


写真:レンバイコーヒーの看板

こうして、あれよあれよと毎週レンバイに通うように。

「お客さんがお茶を飲んでお話しして、買い物して帰っていくホットステーション感が出せたら1番いいと思うんです。でも僕はコーヒー屋さんじゃないからね。気楽に飲めるコーヒーを出すっていうやり方がいいかなと思ってやってます。


写真:レンバイコーヒーをいれる小西さん

コーヒーを淹れるフィルターをうちの『おくるみ』にするっていうパターンもありますね……って今思い付きましたけど(笑)。ガーゼは何回も使えるんで。家でやってみよかな(笑)」。

とこんな風に、あまり力まず仕事に繋がるヒントをいつも取りこぼさずにキャッチしているような小西さん。

本職以外にも、母方の田舎の愛媛県で取り組んでいる耕作放棄地の有効利用を目指す「マエムキ大豆プロジェクト」など、実はレンバイのメンバーと様々な角度で通じ合う活動もされていますので、詳しく掘り下げてみたいと思います。


写真:maemuki suit! 店頭

本職で追求していることは
オリジナルの「生地」を使ったものづくり

小西宏和さんは、企画・デザイン・縫製(一部)・販売までを一人で手がける「maemuki suit!」というブランドを2007年から運営されています。

着る人が主役になれるスタイリングを目指し、オーダースーツをメインに作られていましたが、2010年頃からは、母親の故郷である愛媛県の今治タオルの生地を使ったプロダクトを作るようになります。

2016年に第一子誕生をきっかけに、もの作りへの意識に変化が。以降は肌や環境に優しい生地を使って大人から子供まで使える洋服や、タオルシャツ、リユースできる野菜の保存袋、廃棄野菜の染料で作るアイテムなどを作り、販売されています。


写真:大阪市内の谷町六丁目付近でオアシスのように存在しているmaemuki suit! 

「いつも言いそびれるんですけど、自分のメインは『オリジナルの生地』を作っているってことで。今治の中でも信頼できるタオルメーカーさんに、糸から選んでオリジナルのタオル生地を織ってもらっています。

タオル織機(しょっき=タオルを織る機械のこと)を使って、いかに洋服として着心地のよい生地を作れるかっていうことをずっとやっていて、『洋服』がベースで、そこから付随してガーゼをつかった野菜のおくるみ、タオル用品などを作っています」。


写真:小西さんが来ている服も、カットしている生地もオリジナルのタオル生地

「さらに表現として、心を通わせる生産者さんの廃棄野菜や果物、食材などを染料にして、モノづくりをします。

ですが……染色に注目されがちですが、まずは生地の良さを分かって欲しいな、っていうのが本音なんです。専門職の方にも、うちのこの生地を使って作ってみてほしいと常日頃から思ってるくらいで。

タオル織機で織ったオリジナルのタオル生地を作って服にしている人は、おそらく世界的にもあまりない。それを個人店相手に一緒にやってくれているタオルメーカーさんがいるっていう事がすごいことで。

しかも糸から選ばせてもらってますからね。糸からやるって結構大変なんですよ。何回もサンプルを作ってもらい、数年かけて生地は完成しました。でも、物作りは0から1にする事が楽しいんですよね」。


写真:maemuki suit! HPより「美味しいシリーズ」

自然環境に配慮した生産者さんの
廃棄野菜を染料に

こうして作った生地そのものの風合いを活かし、自然栽培や有機栽培など、自然環境に配慮した生産者の方々が育てた野菜や果物を使って、その素材から色素を抽出し、オーガニックコットン生地に落とし込んで作るのが、その名も“美味しい”シリーズです。(「美味しいハンドタオル」はこちらのページで販売中

美しい色味は、天然の染料を作るボタニカルダイという技術で染められていて、抽出された色素が素材に定着することで、草木染めに比べて日光にあたって退色する割合が低く色落ちしにくいのが特徴です。

現在では、ブドウ、パッションフルーツなどなど、北は北海道、南は沖縄まで、日本各地で知り合った農家さんの廃棄野菜や果物を中心に染料を作られています。

小西さんは「色が綺麗、可愛い! が入り口となって商品を知った方たちが、実はその商品が環境に配慮された素材で作られていたり、実はこだわりの生産者さんがその先にいたりするんだ……といろんなことを知る機会になれたら嬉しい」と話します。

(【美味しいハンドタオル】のページに詳細をご紹介しています→こちらへ


写真:リリースイベントにて。手前の野菜はこの日、北海道から届いた。

レンバイで開催された
新作リリースイベント

2023年10月末には、レンバイの日に合わせ新作の「ビーツ染め」のリリースイベントを企画された小西さん。

北海道北斗市で30年以上の耕作放棄地を開墾して就農されたノノママさん。そのビーツを使った新色は、鮮やかでありながら優しい色味で、店内がパッと明るくなりました。

ビーツ染めの周りには実際にノノママさんが作られたお野菜が並びました。さらにご縁のある広島でパンを作る「ツカノマパン」の塚原ご夫妻を招き、パンの販売も同時開催。


写真:ビーツ染めの隣には、美味しいパンが並ぶ

「北海道のノノママ?広島のツカノマ?ノノママツカノマ??んんん??

ノノママさんのビーツ染めリリースのイベントにツカノマさんがゲストでパンを販売する、関連があるようなないような…そこは言葉の響きと話の流れで面白くなりそうだと思って…


写真:北海道のノノママさんご夫妻(小西さん撮影)

こうして企画されたイベントは盛況で、普段のレンバイとはまた違った空気を作り出していました。

そんな小西さんは、レンバイという場所での買い物の在り方に、気持ち良さや可能性を感じているという話をしてくれました。

次回vol.2「誰が作ったものか理解して買える場所」に続きます。

【特集連載】レンバイって何?は、「編集部だより 食と台所」に随時アップしております。こちらからご覧いただけます⇨ 

レンバイの最新情報はInstagramでご確認いただけます。
アカウント @o_renbai

 

文章:木田
(FOOD ORCHESTRA ライタースタッフ)

食べることは好きでも、料理への苦手意識は拭えず。だからこそシンプルでおいしい調理方法を教わると即実践! 仕入れ先やお取り引き先の皆様から伺うお話にはいつも学ぶことばかりです。難しくならないように、お伝えすることを心がけています。

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はじめまして! 安心できる、おいしい食品を選りすぐってお届けするオンラインストア、フード・オーケストラです。育み作る人と食べる人は、深呼吸するように、つながり、めぐるもの。しあわせで、おいしい音が、途切れることなく明日も明後日も響いたらいいなと思う。正直で、安心できる、おいしい食品を選ぶことは、作り手や子供たちの、わくわくするような素敵な未来をひらいています。私たちが毎日できる、小さくて、大きな力。日々のくらしに無理なくしっくりとくる、おいしいものやうれしいものを、私たち自身の感動を忘れることなく新鮮な目で選び、みなさまの食卓へとお届けするオンラインショップを目指します。