【特集連載】レンバイって何?
MiKAN屋/山崎雄司さんvol.3
「きっかけをつかめる八百屋に」

レンバイについて、その成り立ち、メンバーを紐解く連載「レンバイって何?」。前回のvol.2では、「MiKAN屋」の山ちゃんこと、山崎さんがどんな八百屋になろうとしているのか、レンバイに参加するようになって思うこと、を紐解きました。

最後のvol.3では、後発の八百屋だからできる役割や、今後のレンバイについて思うことを聞かせてくれました。



出会うきっかけがない人の
きっかけをつかめる八百屋に

山ちゃんはレンバイの皆で話を交わす時など、決して意見を押し付けることなくじっと話を聞き、それぞれの特性を理解しながら、冷静に自分の意見を発言されます。後発の八百屋だからこそ感じていることを、改めて聞かせてくれました。

「僕らMiKAN屋は、農薬化学肥料不使用の野菜だけにフォーカスしているわけではない。水耕栽培にも僕は別に抵抗ないし、それぞれの形があっていいと思ってるんで。扱っている野菜も、農薬化学肥料不使用の野菜でフルラインナップでは難しかったりもするし。考え方も、もしかしたら一部ずれたり違う部分もあるかもしれないんですけど。

でもレンバイの皆さんが思っていることっていうのは、すごく理解できる。これが実現できてちゃんと持続できるような、2〜3年で辞めるんじゃなく、商いとしてちゃんと続く形を作りたいっていうのはあって。


写真:レンバイInstagramより

元々オーガニック野菜や食が好きな人って、自分で調べて情報をキャッチしに行くけど。興味はあるけどきっかけがない人って山ほどいると思うんです。そういう人にきっかけをつかんでもらう八百屋である必要があると思ってて。

レンバイって、僕らから見たら、ちょっと玄人の集団っぽく見える。(補足:有機栽培、農薬化学肥料不使用の野菜、などの違いが最低限分かっているような人が集まる場所という意味合い)

みんなすごい経験値も知識もあるからなんでも話ができるし、聞いてくれたら答えられると思うんです。初心者の人が入ってきても面倒が見れるし、だからこそその間口をある程度解放しておくのが必要だと思うんですよね。


写真:レンバイ参加時の山ちゃん(フードオーケストラ店頭にて)

僕も全くそういう世界のことを知らない状態で八百屋を始めたんで、興味はあるけど詳しく知らない人たちの気持ちが分かる。その受け皿のためにもレンバイが存在する意味ってあるんじゃないかなと思ってて。

興味を持って来た人が南大阪方面なら、Honeybeeの佐野さんが、北摂方面ならオガクロの出口さんがいますよ、というような流れが生まれたらいいですよね」。


写真:MiKAN屋Instagramより

八百屋を続けるために

2023年10月にMiKAN屋は法人化、会社名は「合同会社土と人」になりました。

「儲かってるから法人にした、とかじゃなくて、きっかけが色々あったんですけど。ファミリービジネスじゃなくて個人経営で法人化して、ちゃんと正社員を雇っている小規模の八百屋はそんなに多くないんじゃないかなと思ってて。

それを今後、成立させたいなって今は思ってます。社会保険入れて、福利厚生整えて。普通にご飯を食べるのに困らないぐらいっていう形をちゃんと作れないと、八百屋をやりたい人は今後も出てこないかなっていう。今はそんなふうにも考えています」。


写真:レンバイ開催時の様子

わくわくできる場所であるために

最後に、今のレンバイのこと、これからのレンバイの事をどう見ているか、聞きました。

「『あそこに行ったら野菜以外の何かもありそう』とか、わくわくした空気があったりすると、来る理由になるかと思うんです。

だから新しく始まった『レンバイ野菜の試食会』(※1)とか、『八百屋とトークする空間』(※2)は僕はきっかけとしてすごくいいと思います。パン屋さんが来るイベント(※3)もめっちゃいいなと思ったし。五ふしの草の榊原さんは、今はレンバイへの参加頻度は減りましたが、パタゴニア大阪とやっているトークセッション(※4)も、めっちゃええなと思いますしね。

何がきっかけでお客さんが来るかわかんないんで。

店の人やお客さん同士、会いたいからくる。会いに来たから野菜を買う、でもいいじゃないですか。遠方からでも人が来るってすごいことやと思いますし。その人たちがふらっと来た時に、何かを感じるような場所ではありたいですよね」。


※1「レンバイ野菜の試食会」
レンバイが終わった火曜日の夕方に、オガクロさんのその日のおすすめ野菜と、フードオーケストラの調味料を使って、みくり食堂さんが即興で作ったおかずを試食しながら、野菜の特徴や調理方法、調味料についての話を交わす時間。


※2 八百屋とトークする空間
毎週木曜14時頃から1時間くらい、フードオーケストラの店頭でHoney beeさんがフリーテーマでお話会を開催中。野菜や日常にまつわるいろんなことを聞いたり話したりしています。


※3 パン屋さんが来るイベント
マエムキスーツ小西さんが企画した新作リリースイベントで、広島のパン屋「ツカノマパン」さんがレンバイにお越しになり、パンの販売があった。


写真:五ふしの草Instagramより(撮影:山中美有紀)
※4 トークセッション
パタゴニア大阪で数ヶ月に一度開催されている「農業の話をしよう」というトーク&セッションイベント。レンバイ立ち上げの一人でもある、五ふしの草の榊原さんが企画・運営に携わっている。


終わりに

山ちゃんの周りには、農家さんも飲食店さんも、濃い〜見た目のお兄さん達が集まる印象があります。見た目だけではなく、中身もしっかり濃く、語り始めると「自分軸」のしっかりある人たちばかりで面白いんです。

10月に行われたインスタライブ【MiKAN屋からご報告&お知らせ】では、自分たちのことを改めて話され、後半には、福岡のいちご農家さんと大阪のバーガー屋さんも加わって、見ていてとてもワクワクする興味深い時間が繰り広げられました。


写真:MiKAN屋Instagramより

それは、二人が媒介となって、生産者と飲食店の新たな化学反応を期待させる内容でした。まさに、面白いうねりが起きた時間で、「あのインスタライブ面白かったね」と多くの反響があったそう。

興味を持ってもらうには、何がきっかけとなるかは分からない。あまりガチガチになるのではなく、間口は広く。「何も知らなかった人」にも“人”ありきの野菜や果物を面白がってもらえるように。これからもMiKAN屋の挑戦は続いていきそうです。

慣れてくるとチャーミングさも覗かせる山ちゃんに会いに、レンバイに来てみてください。

次回は、maemuki suit!の小西宏和さんの回に続きます。八百屋さん以外の立場で関わる人の目線で、レンバイを紐解いていきたいと思います。

【特集連載】レンバイって何?は、「編集部だより 食と台所」に随時アップしております。こちらからご覧いただけます⇨ 

レンバイの最新情報はInstagramでご確認いただけます。
アカウント @o_renbai

 

文章:木田
(FOOD ORCHESTRA ライタースタッフ)

食べることは好きでも、料理への苦手意識は拭えず。だからこそシンプルでおいしい調理方法を教わると即実践! 仕入れ先やお取り引き先の皆様から伺うお話にはいつも学ぶことばかりです。難しくならないように、お伝えすることを心がけています。

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