2023.12.11
【特集連載】レンバイって何?
MiKAN屋/山崎雄司さんvol.2
「2〜3年で辞めない八百屋になるには」
レンバイについて、その成り立ち、メンバーを紐解く連載「レンバイって何?」。前回のvol.1では、「MiKAN屋」の山ちゃんこと、山崎さんが飲食業から野菜を届ける職業に興味が移り出した経緯や、ビジネスパートナー(相方さん)との出会いを紐解きました。
今回は、八百屋になった今、どんな八百屋になろうとしているのか、レンバイに参加するようになって思うことを聞かせてくれました。
写真:レンバイInstagramより
ニッチな野菜を届ける「八百屋」という職業
野菜を育てるより流通させる側が面白そう、と思うようになった山ちゃんは、どういうスタイルがあるのか、気になる八百屋さんのことを調べたり、会いに行くようになります。
「可能な範囲でいろんな人に話を聞かせてもらいに行って。そこでHoneybee (元tsutaebito)の佐野さんやオガクロの出口さんや、五ふしの草の榊原さんを紹介してもらい、八百屋の現状を聞かせてもらいました。
ニッチなオーガニック野菜にフォーカスした八百屋を個人でやる人たちはほとんどいない。なぜかというと、やっぱりみんな資金がショートして続けられなくて、2〜3年で辞めてるんですよね。
じゃあ、どうやったらちゃんとお金が回るのかなと、色々考えたりするようになって。
相方の大坪は銭湯をやっていたので『低単価で数をこなさないとあかん商売はほんまに疲弊する』と。ちゃんと持続できる価格で、ちゃんと価値を伝えて届けるっていう方法じゃないと、そもそも大きい資本には勝てない。その辺は見極めようっていう話をしてたんですけど……。
MiKAN屋店頭にて当時を振り返る
でも、僕は飲食をやってた時に仕入れも自分でやるから、慣行栽培の野菜のスーパーで販売される価格相場って分かるじゃないですか。その印象があるから、消費者の財布の感覚、一般市場の野菜はこの値段っていうのがこびりついていて。
八百屋をやり始める頃、毎日仕事が終わってからスーパーに値段を見に行ってたんですよ。それは、良いか悪いかで言ったらよくなかったんやと今は思うんです。
そこと同じフィールドにないものを、そこの価格に引っ張られて値付けしても意味がない。手に取りやすい価格だけを求めている人たちに僕らは届けるわけじゃないから」。
写真:MiKAN屋Instagramより
野菜の価格を叩かない
野菜の値付けについて、山ちゃんの話は続きます。
「農家さんによっても考え方は違うと思うんですけど、自分が八百屋に渡した野菜がいくらで売られてるかを気にする人と気にしない人がいると思うんですけど。僕は自分が農家やったら、高く売られている方が嬉しい。
コンスタントに注文が来るのであれば、ちゃんと値付けされて八百屋さんもお客さんも評価してくれてるな、って自分なら思うんですよ。 だから僕も今は安売りすることには興味がない。
ずっと決めてるのが、農家さんから『これいくらで卸しますよ』って言われた時に、その価格を叩かないという事で。この価格だと売れないなと思ったら言いますよ。でも、『値段を下げてくれたら取りますよ』っていう話は絶対しない。
農家さんもいろんな相場を知って、かかってる経費があって、そこに自信があって価格を決めているはずなんで。そこには口出ししたくないなっていうのもあるんですよね」。
そんな風に自分たちのスタンスを見極めながら歩み出した山ちゃんが、レンバイに参加することになった経緯に話は進みました。
写真:レンバイInstagramより
レンバイに加わったタイミング
八百屋業を始めてから、Honeybeeの佐野さんから月曜日にマイタケを仕入れているため、毎週自然と話をする機会があったそう。(注釈:八百屋さんは、農家さんから直接仕入れる以外にも、他の八百屋さんがまとめて仕入れた野菜をそれぞれ仕入れ合うこともある。)
そこで佐野さんから、レンバイの前身の『レンバイ準備会』が始まると聞かされ「山ちゃん一緒にどう?」と誘われます。
「そのタイミングと、自分たちの店舗を出そうと思っていたタイミングが同じ時期で。お店の準備があったので、行ける時だけ遊びに行きますと、時々覗かせてもらってたんです。
元々、毎日自分が宅配もやるし、販売も行くし、という感じでやってたんです。だけど、それだと人に会う時間や溜まった雑務をする時間がなかったんで。
週の火曜日だけルーティーンの仕事は作らない、ということにして。お店を出してある程度落ち着いた頃に、レンバイがちょうど火曜日で行けるなとなって参加させてもらうことになりました」。
イラスト:レンバイInstagramより
レンバイに集まる八百屋に感じた憧れ
それでも店舗立ち上げで、配達もあり、ほぼ休みのないような日々に、あえて時間を割いて参加することにした理由はなんなのでしょう。
「単純に、憧れじゃないですかね。レンバイにいる八百屋さん達に対して。キャリアもあるし、これまで見てきたものも違うやろうし。それに触れてたいっていうか。情報も欲しいし、色々教えてほしい。リアルなところが知りたいっていうのは大きいかな。
写真:レンバイInstagramより
レンバイのメンバー自体がめっちゃ好きですね。みんなそれぞれ個性もあるし、みんな優しいっすよね。僕らなんてほんまに八百屋としてのキャリアもないし、知識もないのに、そうやって呼んでもらって。そこで学ぶことがめっちゃあるし。
ただ、みんなそれぞれ個人事業主で社長として仕事をしてるから。やっぱり物事を決めなあかんってなった時に、折衷案がなかなか取りにくかったり、そういう難しさは感じます。
優しいが故に、これでいく!みたいな、独断がなかなかできない。絶対これ!みたいなことがなくて。だけど『まあ、あんたが言うんやったらそれで1回やってみようか』みたいなのが大事な時ってめっちゃあると思うんで」。
こんなふうに、山ちゃんは時々俯瞰して、それぞれの特性を理解しながら、現状に必要なものはなんだろう?と冷静に周りを見ているような印象があります。
後発の八百屋だからできる役割について、次回vol.3「「きっかけをつかめる八百屋に」」に続きます。
【特集連載】レンバイって何?は、「編集部だより 食と台所」に随時アップしております。こちらからご覧いただけます⇨
レンバイの最新情報はInstagramでご確認いただけます。
アカウント @o_renbai
今回は、八百屋になった今、どんな八百屋になろうとしているのか、レンバイに参加するようになって思うことを聞かせてくれました。
写真:レンバイInstagramより
ニッチな野菜を届ける「八百屋」という職業
野菜を育てるより流通させる側が面白そう、と思うようになった山ちゃんは、どういうスタイルがあるのか、気になる八百屋さんのことを調べたり、会いに行くようになります。
「可能な範囲でいろんな人に話を聞かせてもらいに行って。そこでHoneybee (元tsutaebito)の佐野さんやオガクロの出口さんや、五ふしの草の榊原さんを紹介してもらい、八百屋の現状を聞かせてもらいました。
ニッチなオーガニック野菜にフォーカスした八百屋を個人でやる人たちはほとんどいない。なぜかというと、やっぱりみんな資金がショートして続けられなくて、2〜3年で辞めてるんですよね。
じゃあ、どうやったらちゃんとお金が回るのかなと、色々考えたりするようになって。
相方の大坪は銭湯をやっていたので『低単価で数をこなさないとあかん商売はほんまに疲弊する』と。ちゃんと持続できる価格で、ちゃんと価値を伝えて届けるっていう方法じゃないと、そもそも大きい資本には勝てない。その辺は見極めようっていう話をしてたんですけど……。
MiKAN屋店頭にて当時を振り返る
でも、僕は飲食をやってた時に仕入れも自分でやるから、慣行栽培の野菜のスーパーで販売される価格相場って分かるじゃないですか。その印象があるから、消費者の財布の感覚、一般市場の野菜はこの値段っていうのがこびりついていて。
八百屋をやり始める頃、毎日仕事が終わってからスーパーに値段を見に行ってたんですよ。それは、良いか悪いかで言ったらよくなかったんやと今は思うんです。
そこと同じフィールドにないものを、そこの価格に引っ張られて値付けしても意味がない。手に取りやすい価格だけを求めている人たちに僕らは届けるわけじゃないから」。
写真:MiKAN屋Instagramより
野菜の価格を叩かない
野菜の値付けについて、山ちゃんの話は続きます。
「農家さんによっても考え方は違うと思うんですけど、自分が八百屋に渡した野菜がいくらで売られてるかを気にする人と気にしない人がいると思うんですけど。僕は自分が農家やったら、高く売られている方が嬉しい。
コンスタントに注文が来るのであれば、ちゃんと値付けされて八百屋さんもお客さんも評価してくれてるな、って自分なら思うんですよ。 だから僕も今は安売りすることには興味がない。
ずっと決めてるのが、農家さんから『これいくらで卸しますよ』って言われた時に、その価格を叩かないという事で。この価格だと売れないなと思ったら言いますよ。でも、『値段を下げてくれたら取りますよ』っていう話は絶対しない。
農家さんもいろんな相場を知って、かかってる経費があって、そこに自信があって価格を決めているはずなんで。そこには口出ししたくないなっていうのもあるんですよね」。
そんな風に自分たちのスタンスを見極めながら歩み出した山ちゃんが、レンバイに参加することになった経緯に話は進みました。
写真:レンバイInstagramより
レンバイに加わったタイミング
八百屋業を始めてから、Honeybeeの佐野さんから月曜日にマイタケを仕入れているため、毎週自然と話をする機会があったそう。(注釈:八百屋さんは、農家さんから直接仕入れる以外にも、他の八百屋さんがまとめて仕入れた野菜をそれぞれ仕入れ合うこともある。)
そこで佐野さんから、レンバイの前身の『レンバイ準備会』が始まると聞かされ「山ちゃん一緒にどう?」と誘われます。
「そのタイミングと、自分たちの店舗を出そうと思っていたタイミングが同じ時期で。お店の準備があったので、行ける時だけ遊びに行きますと、時々覗かせてもらってたんです。
元々、毎日自分が宅配もやるし、販売も行くし、という感じでやってたんです。だけど、それだと人に会う時間や溜まった雑務をする時間がなかったんで。
週の火曜日だけルーティーンの仕事は作らない、ということにして。お店を出してある程度落ち着いた頃に、レンバイがちょうど火曜日で行けるなとなって参加させてもらうことになりました」。
イラスト:レンバイInstagramより
レンバイに集まる八百屋に感じた憧れ
それでも店舗立ち上げで、配達もあり、ほぼ休みのないような日々に、あえて時間を割いて参加することにした理由はなんなのでしょう。
「単純に、憧れじゃないですかね。レンバイにいる八百屋さん達に対して。キャリアもあるし、これまで見てきたものも違うやろうし。それに触れてたいっていうか。情報も欲しいし、色々教えてほしい。リアルなところが知りたいっていうのは大きいかな。
写真:レンバイInstagramより
レンバイのメンバー自体がめっちゃ好きですね。みんなそれぞれ個性もあるし、みんな優しいっすよね。僕らなんてほんまに八百屋としてのキャリアもないし、知識もないのに、そうやって呼んでもらって。そこで学ぶことがめっちゃあるし。
ただ、みんなそれぞれ個人事業主で社長として仕事をしてるから。やっぱり物事を決めなあかんってなった時に、折衷案がなかなか取りにくかったり、そういう難しさは感じます。
優しいが故に、これでいく!みたいな、独断がなかなかできない。絶対これ!みたいなことがなくて。だけど『まあ、あんたが言うんやったらそれで1回やってみようか』みたいなのが大事な時ってめっちゃあると思うんで」。
こんなふうに、山ちゃんは時々俯瞰して、それぞれの特性を理解しながら、現状に必要なものはなんだろう?と冷静に周りを見ているような印象があります。
後発の八百屋だからできる役割について、次回vol.3「「きっかけをつかめる八百屋に」」に続きます。
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アカウント @o_renbai
文章:木田(FOOD ORCHESTRA ライタースタッフ)食べることは好きでも、料理への苦手意識は拭えず。だからこそシンプルでおいしい調理方法を教わると即実践! 仕入れ先やお取り引き先の皆様から伺うお話にはいつも学ぶことばかりです。難しくならないように、お伝えすることを心がけています。
おいしい よみもの
おいしいとありがとう
つくる人とたべる人
出会い、めぐり、ひびきあい
わくわくする未来へ
はじめまして! 安心できる、おいしい食品を選りすぐってお届けするオンラインストア、フード・オーケストラです。育み作る人と食べる人は、深呼吸するように、つながり、めぐるもの。しあわせで、おいしい音が、途切れることなく明日も明後日も響いたらいいなと思う。正直で、安心できる、おいしい食品を選ぶことは、作り手や子供たちの、わくわくするような素敵な未来をひらいています。私たちが毎日できる、小さくて、大きな力。日々のくらしに無理なくしっくりとくる、おいしいものやうれしいものを、私たち自身の感動を忘れることなく新鮮な目で選び、みなさまの食卓へとお届けするオンラインショップを目指します。