【特集連載】レンバイって何?
maemuki suit! 小西宏和さんvol.2
「誰が作ったものか理解して買える場所」

レンバイについて、その成り立ち、メンバーを紐解く連載「レンバイって何?」前回のvol.1では、小西さんの本業と、レンバイに緩やかに参加する事になった経緯をお聞きしました。

今回は、レンバイに感じている本質的な魅力について、話は進みました。


イラスト:レンバイInstagramより

レンバイに感じている気持ちよさや可能性

小西さんはあまり堅苦しくなく、レンバイの可能性や面白みを味わっている様子があります。いつもどんな気持ちで、レンバイに参加しているのでしょうか。

「色んな可能性があると、最初からすごく感じてました。どんどんどんどん広がって面白いなって。いろんな人が来てくれて。フードオーケストラさんが、この場所を五ふしの草さんから引き継ぐとは…。※注釈1

八百屋さんがこれだけ個性があるっていうのもおもろいし。八百屋さんが集まって野菜を売って大丈夫なんかなっていまだに思ってるところもあるけど。でも、その瞬間に売れなくても、その先を思ってるところがあるからできるんだと思いますし。

北海道のノノママさんから野菜を送ってもらうとなった時も、『レンバイで販売していいですか?』と皆さんに相談したら『いいよ、いいよ!』ってね。それが言えるのは、こうであらねばならないというイデオロギーが強すぎなくていいなぁというか」。

※注釈1:今フードオーケストラの店舗がある場所は、元々は「五ふしの草」(以下、五ふしと省略)が営業されていた場所。五ふしさんが大阪阿倍野店を閉じ、奈良店のみの営業スタイルに戻すことを検討されていたタイミングで、この場所やレンバイがなくなるのは勿体ないとなり、オンラインストアのみを運営していたフードオーケストラが、初の店舗としてこの場所を引き継ぐことに。2023年5月に五ふしさんが閉店。その2ヶ月後の7月にフードオーケストラがオープンした経緯がある。



誰が作ったものか理解して買える場所

小西さんは、レンバイの特徴をさらにこう捉えています。

「僕らは親になった時に、これはどんなふうに作られているのか、子供に食べさせるようになっていろいろ考えてしまうわけです。そうなってきたら、飲食店さんに行くのがちょっと怖くなって。飲食店では、顔が見えてる人の食材を使っているところって、少ないと思うんです。

やっぱり消費者としては作り手には知っていてほしいし、自分たちも知りたいなっていう気持ちがあるので。



レンバイの八百屋さんたちはみんな分かっているのが凄くいいなと思ってて。玉ねぎが今は近くにないから北海道の人からもらってんねん、とか。それもそれでね、心の距離が近いし。

フードオーケストラさんも、いろんな地域のものを沢山取り扱っていて、誰がどうして作っているものか分かってる。子供に与えるものも、お友達にあげるものを選ぶ時にも語りやすい。そういうのがいいなって。



『これ何なん?』って聞いた時に『どっかのデパートで売っててん!』とかじゃなくて。『なんか人気で、人が並んでてん!』とかじゃなくて(笑)。本質的なところ、そこを知りたい。なんかそういう集まりがレンバイなんかな。質実剛健というか。

ブランドありきでやってない感じ。どこまでもちゃんとフォーカスできるっていう。農家さんのことも、土のことや種のことまで。その辺がクリアになってるのって凄いなって。なかなかないですもん」。


写真:maemuki suit! Instagramより

都市部にいながら手間をかけず
耕作放棄地で大豆を作る

そんな小西さんがここ数年、プライベートで取り組んでいるのが【マエムキ大豆プロジェクト】です。

愛媛県西条市にある亡き祖父の使われなくなった耕作放棄地を有効活用し、大阪にいながらできるだけ手をかけずに無農薬で大豆を育て、育てた大豆で「味噌づくり」をしよう、という取り組みです。2022年から始まり、2023年は2回目の大豆の収穫を経験しました。

大阪と愛媛という距離がありながらも、できるだけ無理なく耕作放棄地を活用する探求は、各地域で抱える耕作放棄地活用のヒントになりそうな取り組みです。


写真:maemuki suit! Instagramより

「これから耕作放棄地ってめちゃめちゃ増えるんですよ。僕らの祖父の畑もうちの母親が継いで、できれば農薬など使わずに誰かに使ってもらえたらという気持ちがあって。元々は地元の自然栽培農家さんが5年ぐらいその土地を使ってくれてたんやけど、その人が辞めちゃって。次にお願いできる人が見つからず、それで自分たちで始めたことで。

耕作放棄地の使われ方って、大きく二通りあって。

一つは農業法人が大規模に使う方法。元々は、法人が農地を持つことが認められてなかったのが、だんだんそれも緩和されてきたみたいで。国もやっぱりどうしようもないんですよね。やれる人が少ないから。そこに農業法人を入れて大規模に慣行栽培(農薬や化学肥料も使って栽培する方法)でやっていくっていう流れが一つ。

もう一つは、近所の人が個人で頑張っていくスタイル。基本的にはこの二通りしかない中で。

僕らがご提案してみたいことは、僕らみたいに街中に住んでる人が、月に1回レジャー的でもなんでもいいから、耕作放棄地を使って農薬や化学肥料を使わず、かつ手をかけずに作物を作る選択肢で。それをすれば、今まで以外の選択肢ができるんで。僕たちはまさにその実験中といった感じです」。

いかに無理をせず、問題に対応できるか。現実的な方法を模索する小西さんのお話は、vol.3に続きます。


【特集連載】レンバイって何?は、「編集部だより 食と台所」に随時アップしております。こちらからご覧いただけます⇨ 

レンバイの最新情報はInstagramでご確認いただけます。
アカウント @o_renbai

 

文章:木田
(FOOD ORCHESTRA ライタースタッフ)

食べることは好きでも、料理への苦手意識は拭えず。だからこそシンプルでおいしい調理方法を教わると即実践! 仕入れ先やお取り引き先の皆様から伺うお話にはいつも学ぶことばかりです。難しくならないように、お伝えすることを心がけています。

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はじめまして! 安心できる、おいしい食品を選りすぐってお届けするオンラインストア、フード・オーケストラです。育み作る人と食べる人は、深呼吸するように、つながり、めぐるもの。しあわせで、おいしい音が、途切れることなく明日も明後日も響いたらいいなと思う。正直で、安心できる、おいしい食品を選ぶことは、作り手や子供たちの、わくわくするような素敵な未来をひらいています。私たちが毎日できる、小さくて、大きな力。日々のくらしに無理なくしっくりとくる、おいしいものやうれしいものを、私たち自身の感動を忘れることなく新鮮な目で選び、みなさまの食卓へとお届けするオンラインショップを目指します。