島崎ともよ「家族のごはんは、定番がいちばん」

島崎さん一家が暮らすドイツは、世界屈指のオーガニック大国。BIOスーパーや週末のBIOマルクトはもちろん、大衆的な激安スーパーでもBIO製品が安く揃うというから、安全な食の意識は市民レベルで浸透している模様。まずはともよさんに、普段の食材選びについて聞きました。

「なるべく加工品は避け、いい素材を買うようにしています。加工品を買うときは、必ず一つ一つ成分表示を見て、なるべくシンプルな原材料でつくられたものを積極的に選ぶように。産地もチェックし、ドイツのもの、ベルリン近郊のもの、どこで作っているかが分かるものを優先的に買うようにしています」

自分なりの基準をいくつか設け、その時々の状況で決めているともよさん。とはいえ、意外にも「今はBIOや無農薬なら良くて、それ以外がすべてダメとは思っていません」と続けます。始まりは独身時代。日々の不摂生で体調を崩したのをきっかけに、食事を見直すようになったともよさん。食に気をつけている知人達からの影響もあり、自然で安全な食をストイックに求めるようになりました。1人目の妊娠とも重なり気持ちに余裕がなかったと当時を振り返ります。

「BIOのものや添加物不使用のものを選べば間違いない!と思っていました。無添加で作っている飲食店自体が少ないので外食も控えめ。もう自分で作るしかない!と料理にのめり込むようになりました」

転機になったのは、2人目の子どもの出産です。

「娘と息子を見ていると、好みも食欲も、身体に合う食材も人によって違うことに気づきました。片方はお肉が大好きなのに、片方は消化力が弱く同じ量を食べるとお腹を壊してしまうことがあったり。この食材が良い、といっても家族全員に当てはまるものではないと思ったら、今まで自分に課していたいろいろな制限が無意味に思えてきて。大事なのは、個々がハッピーでいられる食事なんだと思いました」

同じタイミングで、ドイツへ移住したのも大きな転換点に。添加物や農薬の悩みが、BIO大国ドイツへ行けば全て解決する!と胸を膨らませてベルリンへやって来たともよさん。ですが、意外な方向に事は流れます。

「不思議とこちらへ来て外食にも行くし、BIO以外もよく買うようになりました。いいBIOのお肉が手に入らないから、今日は普通のお肉にしよう、とか。昔の私なら、その選択はなかなか出来なかった。シンプルでナチュラルでという理想はありますが、その時の気分やお財布次第では他を選んでもOK、という風に。それ以上に食を楽しめるようになりました。心にゆとりができたのかもしれません」

ドイツ人のライフスタイルからも大きな影響を受けているといいます。

「夕方の公園に行くと、すごい人なんです。ママだけじゃなくパパも、家族全員で来ている人が多い。私は夕飯の支度しなきゃ……と徐々に焦りだすんですが、みんな6:30になっても帰らない。不思議に思っていたら、ドイツの人の典型的な夕飯ってパンとハムだとか!その分、家族との時間を大事にしている。私も毎日頑張らなくて良いんだ~と肩の力が抜けましたね」

今では、日々の食をこんな風に捉えていると教えてくれました。

「食は暮らしの一部で、一生つづくもの。だから贅沢なものじゃなくて、シンプルなで安心できる食材と調味料を使った定番がいちばん良い。家族への愛があって、笑顔と『美味しい!』が溢れていたら、それだけでハッピーな食卓になります。毎日の定番を支えてくれるフードオーケストラは、私の描く食卓のイメージそのものだと思います」

写真:島崎慎也




かつお節のポテトサラダ


調理時間 20分
分量 2人分

じゃがいも……大2個
無塩バター……10g
豆乳……大さじ1
かつお節……3g
天然塩……小さじ1/4〜(お好みで)
醤油……数滴
こしょう……(お好みで)

①皮付きのじゃがいもを水から強火で茹でる。
②沸騰したら中火にし、15分から20分茹でる。その後、火を止め15分間、じっくりと中まで火を通す。
③竹串を刺し中心に火が通っているのを確認したら、皮を剥きボウルの中で潰す。
④アツアツの状態でバターを加え、溶けるまで混ぜたら、豆乳を加えてさらに混ぜる。
⑤かつお節、天然塩、醤油、お好みでこしょうを入れ、好みの味に仕上げる。


このレシピで使った食材
竹内商店 土佐節花削り 40g



ともよさんからのコメント

ポテトサラダって、芋を茹でるのも中に入れる具材を一つずつ用意するのも、意外と時間がかかって、パパーっと料理しなきゃな時は、なんせ億劫……。このレシピだと、具材はかつお節だけだし、あとは調味料を混ぜるだけなので、ささっと出来てポテトサラダを作るハードルがグッと下がります。ぜひ作ってみてください!






島崎ともよ
TOMOYO SHIMAZAKI

料理家。家族思いのシンプルでナチュラルな食を提案するサイト『LIFEとFOOD』主宰。“食は暮らしの一部”を基軸に、日々のレシピや子育ての気づきなどを発信する。2017年よりベルリン在住。

文章:池尾 優
1984年東京生まれ。大学卒業後、タイのバンコクで現地情報誌の企画・編集に携わる。2010年よりトラベルカルチャー誌『TRANSIT』編集部(Euphoria Factory)に在籍。同誌副編集長を経て、2018年に独立。京都在住。

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